ウェッジウッド
高級洋食器の代名詞ともなっているウェッジウッドは、「英国陶工の父」と呼ばれるジョサイア・ウェッジウッドにより1759年に創立されました。『陶器本来の素朴な温もりを残しつつ、芸術の域まで洗練させたい』という夢を追及し続けた彼は、「クイーンズウェア」「ジャスパーウェア」を生み出しました。「クイーンズウェア」は、品の良い光沢を放つ象牙色が特徴の白い食器で、ジョージ3世の妃、シャーロット王妃に「クイーンズウェア（女王の陶器）」の命名を許されました。「ジャスパーウェア」は、素地自体に色素を含む美しいせっ器です。ウェッジウッドブルーと言われる淡いブルーと純白の美しいコントラストが印象的な逸品です。
ジョサイアの二男、ジョサイア2世は、独特の光沢をもつ、硬くて壊れにくいテーブルウェア『ファイン・ボーン・チャイナ』を完成させました。牛の骨灰を50％以上使ったこの食器は、乳白色の繊細な美しさにも関わらず、実用性、耐久性に優れ、まさに食器の理想を形にしたものでした。
ウェッジウッドのテーブルウェアは優雅で完成度の高いデザインや地肌の美しさばかりでなく、機能面でも優れているため、“最高の洋食器”と世界中で愛されています。


バックスタンプ
ジョサイアは、古代ガラスの名作『ポートランドの壺』に魅せられ、彼の開発した『ジャスパーウェア』で完璧に再現させました。この壺は、ジャスパー・ウェアーの極致ともいうべきもので、バックスタンプに使われています。ウェッジウッドのバックスタンプは歴史の変遷と共にそのデザインを変えており、作られた年代や製造方法などを伝えてくれる貴重な“しるし”です。また、バックスタンプの脇にある金色の小さな点は、「筆試し」といって金彩を施す際に職人が付けたようです。


ユーランダーパウダー ブルー
1903年、セオドア・ルーズベルト米国大統領の時代に、ホワイトハウス用のディナーサービスセットの特注依頼を受けました。その際に制作した“ユーランダー”という小花を用いた可憐な金の縁取りを施したデザインです。
パウダー状の濃淡のある模様は、一つ一つ職人がスポンジ状の道具でたたいて模様をつけています。現在では転写ですので、この当時の手描きの風合いと色の濃淡は表現しきれません。
中でもこのブルーは、チャールズ皇太子と故ダイアナ妃のご成婚の際に、お祝いの品として贈られました。